全世界株式に投資したい。でも反対する人の意見も聞いてから判断したいな。
という方に、ぜひお読みいただきたい記事です。
インデックス投資をはじめようと思ったときに、「全世界株式(オルカン)」への投資をお考えになられる方は多いと思います。
ただ、大事な資産運用にあたって、「全世界株式への投資におけるデメリット」も押さえた上で投資判断をしたい、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ということで、今回は全世界株式への投資に対する反対意見(デメリット)について紹介したいと思います。
全世界株式への投資にお悩みの方にとって参考になれば幸いです。
- インデックス投資初心者の方
- 全世界株式(オルカン)に投資してみたい方
- 「全世界株式への投資」の反対意見を知りたい方
- 全世界株式のおすすめ商品について知りたい方
>>当ブログ管理人の「インデックス投資のリアルな資産運用実績」を毎月公開中
全世界株式への投資のメリットは?
反対派の意見を紹介する前に、まず、全世界株式の基礎知識・投資メリットについて改めて振り返りたいと思います。
全世界株式インデックス・ファンドとは
世界全体の株式の値動きを示す指数に連動する商品です。
たった一つの商品を購入するだけで、世界中の株に分散投資をしたのと同じ効果を得られます。
代表的なものでは、以下のような商品が挙げられます。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
- SBI・V・全世界インデックスファンド
- バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)
上記は一部となりますが、同じく全世界型の投資商品はたくさんあります。
続いて、全世界株式への投資メリットを紹介します。
メリット① 1本で世界中の企業へ分散投資ができる
投資の王道はリスク分散ですが、全世界株式に投資すると、1本で世界中の企業へ分散投資ができます。
一例として、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の地域別構成比率・組み入れ銘柄を紹介します。
地域別構成比率
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)投資信託説明書より
地域別の構成比率は上図のとおりで、先進国23か国・新興国27か国に分散して投資することができます。
各地域への投資比率は、市場における時価総額をもとに割合が決められています。
組み入れ銘柄
三菱UFJ国際投信株式会社 確定拠出年金向け説明資料(基準日:2022年2月28日)より
組み入れ銘柄上位には上の図のような企業があります。
台湾セミコンダクター・マニュファクチャリングのようなアメリカ以外の有名企業もランクインしています。
組み入れ銘柄数が右上に2,931社とあるように、1つの商品で約3,000社近い企業に対して分散投資できます。
メリット②米国1強時代が終わっても安心できる
ここ10年の結果を見ると経済大国アメリカの成長率は素晴らしいものがありました。
しかしながら、今後も果たしてこの傾向は続くでしょうか。
例えば、下の図は、1970年以降の各年代ごとの国別/地域別株価指数のリターンを比較した表です。
これを見ると日本や新興国が米国よりも強かった時代があることがわかりますね。
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ国際投信作成
全世界株式への投資の場合、時価総額のウエイトに応じて投資比率を変えてくれるので、仮に米国以外の国が台頭してきても、その恩恵を享受することができます。
米国が不振な時期がやってきたとしても、「どこが伸びてもOK」だからこその安心感は大きいです。
ちなみに、私自身は米国への投資割合が大きめですが、新興国が米国を超える成長を見せたときに恩恵を受けられるよう、新興国へも2割弱投資するようにしています。
メリット③自動リバランスで手がかからない
時間経過とともに地域や企業の時価総額のウエイトは変化していくため、本来は、適正な比率に戻していく作業(=リバランス)が必要となります。
全世界株式に投資すると、このウエイトの変化も自動でキャッチアップしてくれるため、リバランスが不要です。
手間ひまかけたくない一般投資家にとって大きなメリットと言えます。
【全世界株式はおすすめしない】反対派の主張するデメリットを4つ紹介
ここからは「全世界株式はおすすめしない派」の意見をいくつか紹介したいと思います。
デメリット①パフォーマンスの低い国が含まれる
ここ10年以上、米国株式の1強時代が続いたため、ここ数年パフォーマンス(=リターン)が低い国に対して投資するのはもったいないという意見があります。
下の図は全世界株式と米国株式(S&P500)の過去10年のパフォーマンスを比較したグラフです。
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ国際投信作成
S&P500指数、全世界株式(=MSCI AC ワールドインデックス)は米ドルベースの指数を三菱UFJ国際投信が円換算しています。(2011年10月末を100として指数化)
未来のことはわかりませんが、2011年~2021年の10年を切り取ると、米国株式(S&P500)が全世界株式のパフォーマンスを圧倒している状況です。
グーグル、アマゾン、メタ(フェイスブック)、アップル、マイクロソフトなどの米国の巨大プラットフォーマーが市場成長をけん引してきたことが大きな要因です。
全世界株式にも当然こうした企業が組み入れられていますが、米国株式(S&P500)と比較するとその比率は下がります。
デメリット②リスクの高い新興国が含まれる
新興国株式市場は、株主保護の仕組みが未成熟だとされています。
そのような環境では、
- 粉飾決算
- インサイダー取引
- 政治の介入
- 通貨安
といった事案が発生する可能性が、先進国と比較して高いと言われています。
例えばですが、2021年7月には中国で政府主導の教育改革案により、学習塾の新規上場を禁止し、既存の塾は非営利団体として登記するという方針を発表し、教育関連銘柄が大幅に下落するという事態となりました。
ある日突然、市場環境がガラッと変わるのは確かに怖いですね。
デメリット③米国株式と比較して手数料が高い
長期投資において、手数料を安く抑えることは非常に重要です。
全世界株式インデックス・ファンドの手数料はかなり低コストになってきましたが、それでも米国株式と比較すると若干高いのは事実です。
例えばですが、国内の人気投資信託「eMAXIS Slimシリーズ」の手数料を見てみると以下のとおりです。
商品 | 信託報酬 (税込)/年 |
---|---|
全世界株式(オール・カントリー) | 0.1144%以内 |
先進国株式インデックス | 0.1023%以内 |
米国株式(S&P500) | 0.0968%以内 |
※2023年3月時点
しのぎを削りあうほどの手数料(信託報酬)の安さですが、米国株式(S&P500)が若干リードしています。
私がインデックス投資を始めた2016年は、0.2%を切れば十分!と言われていたので、ここ数年でどれも本当に安くなったと思います。
デメリット④個別株ほどの爆発力はない
これは、全世界株式がどうという話以前に、「個別株 vs インデックス投資」という話ですが、全世界株式は分散投資であるため、個別株ほどの爆発力はありません。
もし機関投資家などのプロの目以上の目利きができる一握りの人間であれば、大きなリスクと引き換えに「テンバガー(10倍株)」を引き当てることができるかもしれません。
一方で、全世界株式へ投資を行った場合、テンバガーはおろか「1年で2倍」すら起こらないと思った方がいいでしょう。
インデックス投資は、時間をかけながら、ゆっくり複利の力で資産を増やしていく投資法だからです。
全世界株式の年平均リターンは?
あくまで過去実績は結果論であり、未来のことは誰にも分かりませんが、以下は参考です。
myINDEX(マイインデックス)様のサイトを参考にすると、全世界株式がベンチマークしている指数「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス (ACWI)」の30年年率平均リターンは7.9%です。(2022年2月末時点)
Twitterなど投資家界隈の方の発信を見ると、「年5%」くらいを期待されている方が多いと思います。
私自身も年5%の複利を期待して運用しています。
\インデックス投資のおすすめ書籍/
【参考動画】「全世界株式をおすすめしない」をテーマとしたYouTube動画
「全世界株式をおすすめしない」をテーマとしたYoutube動画をいくつか紹介します。もっといろいろな方の意見を聞いてみたいという方は参考にしてみて下さい。
いろんな意見があって面白いですが、私としては、それでもやはり全世界株式は魅力的な投資だと判断しています。
反対派の意見を踏まえても、投資初心者には全世界株式がおすすめ
ここまで、全世界株式への投資に対するメリット・デメリットを紹介してきました。
反対派の意見も確かに参考になるものばかりで、もしかすると、全世界株式への投資判断に迷いが生じた方もいらっしゃるかもしれません。
ここからは、私個人の意見ですが、それでもやはり投資初心者には全世界株式をおすすめしたいと思っています。
【理由】未来は誰にもわからない
理由はシンプルで、未来は誰にもわからないからです。
ここ10年で見れば米国1強であり、未来に渡ってこの傾向が続くのであれば、米国株式一択ですが、過去そうだったように米国以外の国が台頭するかもしれません。
また、新興国株式の抱えるリスクも事実ですが、それを凌駕する成長の伸びしろがあるかもしれません。
すべて「かも」であり、「絶対」はありません。
また、おそらく投資初心者の方ほど、「特定の企業や国への思い入れ」はお持ちでないと思います。
とするならば、どこの国も企業も自ら選択しない「全世界株式」がもっとも合理的だと思います。
選択するということは、よい結果に結び付かなかった場合に後悔を伴います。
全世界株式は選択しないからこそ「どこが来てもOK」となるためストレスが小さく、投資初心者の方の長期投資を下支えしてくれます。
全世界株式に投資するならどの商品がおすすめ?
投資初心者へのおすすめは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」です。
理由はこちらです。
- 投資信託なのでETFよりも購入が簡単
- 投資信託なのでETFよりも購入後の手間が少ない
- 投資信託の中でもコストが安い
- 投資信託の中でも純資産総額が大きい
詳しくは別の記事で紹介しておりますので、もしよければ参考にしてみてください。
参考記事
まとめ
今回は、全世界株式への投資について基礎知識やメリットを振り返りつつ、反対派の主張するデメリット4つを紹介しました。
簡単にまとめますと、以下のようなデメリットが挙げられました。
- パフォーマンスの低い国が含まれる
- リスクの高い新興国が含まれる
- 米国株式と比較して手数料が高い
- 個別株ほどの爆発力がない
どのデメリットも否定できないものだと考えます。
これらのデメリットを踏まえて、米国株式一択への投資を行うのもありでしょう。
ですが、私個人としては、「未来は誰にもわからない」ため、投資初心者向けには全世界株式をおすすめしています。
大事な資産を長期に渡って預けるからこそ、納得感のある商品選びにしたいものですね。
今回の記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
\インデックス投資のおすすめ書籍/