インデックス投資

全世界株式(オールカントリー)と米国株式(S&P500)はどっちがいい?【両方に投資はあり?】

全世界株と米国株式の選択

全世界株式と米国株式はどっちがいいの?わからないから両方に投資しようかしら?

という方にぜひ読んで頂きたい記事です。

今回は、

「全世界株式(オールカントリー)と米国株式(S&P500)はどっちがいい?両方に投資するのはありか?」

というテーマについて紹介したいと思います。

まず最初に結論から、私なりのおすすめ順位を申し上げますと、

おすすめ順位投資対象
1位全世界株式
2位米国株式(S&P500)
おすすめしない全世界株式と米国株式の両方

となります。

えーた

全世界株式と米国株式はどちらもおすすめですが、両方に投資するのだけはもったいない気がしてます。

それでは、このような考えに至った経緯を紹介したいと思います。

この記事はこんな方におすすめ
  • これからインデックス投資を始められる方
  • 全世界株式と米国株式の2つで迷っている方
  • 全世界株式と米国株式の両方に投資している方

全世界株式と米国株式(S&P500)の特徴を比較

全世界株式と米国株式を比較

まず最初に、全世界株式と米国株式(S&P500)の違いを簡単に振り返ってみたいと思います。

ここでは、以下の商品を例に比較します。

投資対象商品例
全世界株式eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
米国株式(S&P500)eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

えーた

安定のeMAXIS Slimシリーズ。インデックス投資について調べてみたとき、多くの人が辿り着く銘柄ですね。

投資対象の国・企業数・指数の算出方法を比較

簡単な比較がこちらです。(2022年2月時点)

項目全世界株式S&P500
投資対象の国合計50ヵ国
(先進国27ヵ国+新興国23ヵ国)
米国
投資対象の企業数約3,000社大型株500社
指数の算出方法時価総額加重平均時価総額加重平均

えーた

時価総額平均とは、時価総額の割合に従って、構成銘柄の構成割合を決めてるってことです。

全世界株式と米国株式(S&P500)の過去実績比較

下の図は全世界株式と米国株式(S&P500)の過去10年のパフォーマンスを比較したグラフです。

未来のことはわかりませんが、2011年~2021年の10年を切り取ると、米国株式(S&P500)が全世界株式のパフォーマンスを圧倒している状況です。

全世界株式と米国株式(S&P500)の過去実績比較

(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ国際投信作成
S&P500指数、全世界株式(=MSCI AC ワールドインデックス)は米ドルベースの指数を三菱UFJ国際投信が円換算しています。(2011年10月末を100として指数化)

全世界株式と米国株式の選び方

前提として、先ほど紹介した2つの投資対象はどちらも引けず劣らずの素晴らしい商品だと思います。

その上で、全世界株式と米国株式の2択で迷った場合の考え方を紹介したいと思います。

全世界株式がおすすめな人
  • アメリカ以外にも分散投資をしたい
  • アメリカ経済の成長が継続することに確信が持てない
  • 特定の国の好調・不調を気にしたくない
米国株式がおすすめな人
  • 右肩上がりで成長し続けるアメリカ市場の確かな実績を信じたい
  • 企業の新陳代謝が活発でイノベーションが期待できる国に投資したい
  • 今後も人口増に伴う経済発展が期待できる先進国に投資したい

一例ではありますが、上記のようなポイントが選定理由として多く上げられます。

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迷ったときのおすすめは全世界株式(オールカントリー)

全世界株式がおすすめ

知人友人にもし「おすすめは?」と聞かれたら、一貫して「全世界株式」をおすすめしています。

具体的な商品で言うと、『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』(通称:オルカン)です。

全世界株式のおすすめ理由は?【米国一強が続くかわからない】

歴史的に見て、米国株式の一強が必ずしも続いてきたわけではないためです。

例えば、下の図は、1970年以降の各年代ごとの国別/地域別株価指数のリターンを比較した表です。これを見ると日本や新興国が米国よりも強かった時代があることがわかりますね。

各年代ごとの国別/地域別株価指数のリターン

(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ国際投信作成

高い成長力を誇る米国は投資対象として魅力ですが、よほど米国に思い入れがない限りは、分散の観点で全世界株式を選ぶのが合理的かと思います。

また、仮に全世界株式に投資したとしても、米国が約6割を占めるポートフォリオになっていますので、米国の成長も押さえておきたい方のニーズは十分満たせると思います。(2022年2月時点)

以下は、全世界株式への投資に関する参考記事・動画です。

【参考記事】初心者におすすめの投資信託はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

【参考記事】初心者におすすめの投資信託はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

【参考動画】投資初心者は「全世界株」と「米国株」どちらに投資すべきか?

両学長 リベラルアーツ大学より

全世界株式と米国株式(S&P500)の選び方で迷った方にとてもおすすめの動画で、アニメーションで非常にわかりやすく解説されています。

結論としては、「迷ったら全世界株式」をおすすめされております。

両学長のyoutube動画はとても参考になるので、特に資産形成期の若い方でご存じない方はぜひ一度ご覧になってみてください。

たぱぞう投資大学より

こちらは米国株投資の著名人「たぱぞう」さんのyoutube動画です。

たぱぞうさん個人的には「米国株集中投資」推しであるものの、

「米国株か?」「全世界株式か?」の2択にたどり着いただけでもう既に合格!とおっしゃってますね。

運営は2021年8月からと比較的若いチャンネルですが、圧倒的な経験値・知見をもとに参考となる動画を矢継ぎ早にリリースされています。

両学長のチャンネル同様にアニメーション形式でわかりやすので、投資初心者の方向けにおすすめなチャンネルです。

【参考】米国株式の選び方は?(S&P500と全米株式)

米国株式の選び方

今回のテーマから少し脱線しますが、米国株式を選ぶ際には、「S&P500」「全米株式」の2択も迷いがちなポイントですので、少しふれておきたいと思います。

米国株投資のおすすめ商品は?S&P500と全米株式の比較」の中で過去実績も含めて比較しておりますが、

簡単にまとめますと、

  • 米国の代表的な大型500社に投資したい方:S&P500
  • 中小も含めて米国全体にまるっと投資したい方:全米株式

という選択になります。

S&P500の方が大型株構成される点で安定感があるのに対し、全米株式は中小企業の伸びしろを取り込める点がメリットとなります。

【全世界と米国の両方へ投資】はおすすめしない

では次に、なぜ全世界株式と米国株式の両方に投資するのがおすすめではないのか?について私なりの考えを述べたいと思います。

えーた

結論、両方に投資した場合、ポートフォリオ全体で見たときの時価総額加重平均が崩れるからです。

【理由】時価総額加重平均が崩れる

「時価総額加重平均」というキーワードが改めて登場しましたが、先ほども紹介したように、ノーベル賞をとるほどの理論で、最適とされているポートフォリオの考え方です。

全世界株式と米国株式(S&P500、全米株式)のいずれも時価総額加重平均で構成されているのですが、もし混ぜてしまうと、

どこの市場を再現するわけでもない、「オリジナルポートフォリオ」が誕生してしまいます。

例えば、全世界株式と米国株式を50:50で混ぜると、米国株式の比率が高い全世界株式のようなポートフォリオが生まれます。

以下の図がイメージです。(全世界株式の構成比は2022年2月時点を参考)

こうなった場合、「オリジナルポートフォリオ」全体では時価総額加重平均とならず(米国偏重となる)、ポートフォリオ全体での自動リバランスが効きません。

リバランスとは、各国・あるいは各企業の成長に準じて、ポートフォリオの構成比率を変えることです。

えーた

例えば、「全世界株式を再現したポートフォリオに戻したい!」っと思ったら、手動で米国以外のたくさんの商品を買い増しするか、米国株式を売却するかのいずれかの対応が必要となってしまいます。

とはいいつつ、この場合リバランスし続けるのは現実的じゃないため、おそらく多くの人は気にせず放置されると思います。

「ポートフォリオ全体での時価総額加重平均」とはならないものの、長期で運用した場合はどちらもそこそこのリターンが期待できますし、売却に伴う税金の先払いがもったいなので、売却してまで寄せる必要はないと思います。

「じゃあ気にしなくていいじゃん」と思われるかもしれません。

ただ、ここでお伝えしたかったのは、

先人たちが導き出した「ありがたい理論でよしとされる考え方」を、

わからないから両方に投資しようかしら?

といった、そこまで強くない思いで崩してしまうのは、少しもったいないのではないでしょうか?というお話でした。

特別な思いがない限り、シンプルなポートフォリオにするのが私のおすすめです。

【参考】切り離せる口座なら両方投資するのもあり

例えば、将来的にお子さんに引き継ぐことを前提であれば、ジュニアNISAで運用する部分を夫婦とは別の商品で運用するのはありだと思います。

以下が例です。

  • 夫婦はつみたてNISAで全世界株式
  • 子はジュニアNISAでS&P500

この場合、家庭全体で見れば混ざった「オリジナルポートフォリオ」っぽく見えます。

しかしながら、お子さんに引き継がれるジュニアNISAはいずれ切り離されるものなので、夫婦・子のそれぞれの口座で時価総額加重平均は守られている形です。

どうしても両方に投資されたい方は、このように切り離しを前提とした口座で運用するのは、一つの手かもしれません。

まとめ

summary

今回は、「全世界株式と米国株式はどっちがいい?両方に投資するのはありか?」というテーマについて紹介しました。

今回の話をまとめますと、

  • 米国に特別強い思いがなければ全世界株式がおすすめ
  • 両方に投資するのはおすすめしない。理由はポートフォリオ全体の時価総額加重平均が崩れるため。

というお話でした。悩んでいる方の参考になれば幸いです。

以下はちょっとした小話です。

【参考】管理人の小話

今回の記事で幾度となく、「時価総額加重平均」を大事にしてみてはどうか?とお伝えしたのですが、実は私もこの考え方の大事さに気づいたのはここ2021年に入ってからでした。

インデックス投資を始めたのは2016年からなのですが、

当時は、「株の詰め合わせパック」に分散投資することが大事で、「ポートフォリオ全体で時価総額加重平均」という考え方は全く意識していませんでした。

なので、私が投資しているインデックスファンドは、もちろんそれぞれの個別商品で時価総額加重平均にはなっているものの、ポートフォリオ全体で見ると時価総額加重平均となっておりません。

えーた

これだけしゃべっておいてスミマセン!

私の場合、投資信託で「S&P500」、米国ETFで「VIG」や「QQQ」に投資しているので、これらの商品に重複するマイクロソフトはウエイトが大きかったりします。

しかし、どのインデックスも好きですし、「80点以上取れたらいい」くらいで資産運用しているので、今からすべて売却して1本に統一したり、ということはしないつもりです。

やるか、やらないかの選択が何より大きいので。

長く続けられる、自分のしっくりくるやり方を見つけられたらいいのだと思います。

とはいえ、これから資産形成を始められる方にとっては、後から「しまった!」と後悔しない選択をして頂きたいと思って、今回の記事を書いてみた次第です。

インデックス投資を始める際の一つの参考になれば幸いです。

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